ADHD (注意欠陥多動性障害) は、国の定める基準を満たせば障害年金が支給される精神の傷病です。ここでは ADHD での障害年金での認定基準や手続きのポイントや、傷病特徴を解説いたします。
ADHD で障害年金を申請する場合の認定基準
ADHD は発達障害のひとつなので、障害年金の認定基準は発達障害に準じます。
発達障害(自閉症、学習障害、ADHD 他)と障害年金 に詳細をまとめてありますのでご参照ください。
ADHD の症状とタイプ
ADHD は、中枢神経系に何らかの要因による機能不全を起こしている精神の傷病です。7歳以前に発症することが多く、その状態が継続します。「年齢(発達)に不釣り合いな注意力」、「衝動性、多動性」といった特徴があり、社会的な活動や学業に支障を生じます。
ADHD には、以下の3タイプがあります。
- 多動性・衝動性優劣型
過度に騒がしい、はしゃぎ過ぎ、集団生活からはみ出してしまうなどの症状を「多動性」と言い、座っていてもすぐに歩き回る “移動性多動”、絶えず体を動かしている “非移動性多動” に分類されます。「衝動性」は、”相手の話が終わらないうちに出し抜けにしゃべる”、”列に並んで順番を待てない”、”他人にすぐにちょっかいをかける” などの症状を指します。 - 混合型
多動性・衝動性優劣型、不注意優勢型 両方の症状が出ている状態。 - 不注意優勢型
“他のことに気がとられやすい”、”注意や集中力を維持できない”、”注意の配分が適切にできない”、”今やるべき課題に手を付けようとしない”、”課題を最後までやり遂げられない”、”すべき課題を順序たてて行うことが困難” などの症状が特徴です。
発病した年齢が低いほど、前者2つのタイプである割合が高くなります。
年齢が高くなると有病率は低くなり、”不注意優勢型” の割合が多くなります。
学童期は男児の “多動・衝動性” が圧倒的に多いです。しかし成人になると、女性の比率が向上し、不注意やワーキングメモリ(何かの事柄をやっている最中に別のことを覚えておく能力)の障害が問題となることが多いです。
大人になってからの問題
ADHD は、成人になってからの社会生活において支障をきたすこともあります。
- 頻繁な転職
- 不注意のための仕事の失敗
- 金銭・旅行・買い物などを衝動的にしてしまう
- 交通事故、日常生活の整理整頓が困難になる
障害年金申請において重要な「医療機関での初診日」
障害年金を申請する際の提出書類のひとつに 「受診状況等証明書」があります。
これは、初めて医師の診断を受けた日の証明になりますが、この初診日は、障害年金の認定において大変重要な項目となります。
初診日の時点で “どの保険制度に加入していたか” 、”保険料をいくら支払っていたか” 等は、障害年金の受給資格の有無、障害認定日、また、障害基礎年金なのか障害厚生年金なのかを決定する要素となります。初診日の重要性については、当サイト内の 障害年金ってなに?、障害年金がもらえない可能性がある2つのケース、障害年金で支給される金額 をご覧ください。
初診日を証明する書類はきちんと保管しておきましょう
障害年金を申請する際、初診日を証明するために、初診を受けた病院で「受診状況等証明書」を発行してもらいます。
もし、病院でカルテが残っていなかった場合、初診日を証明する書類が必要になります。受診された場合は以下の書類はきちんと保管するようにしておきましょう。
- 診察券(できれば診察日や診療科が分かるもの)
- 領収書
- お薬手帳
- 健康保険の給付記録
定期的な通院をされていない方へ
障害年金の申請の際「認定日請求」と呼ばれる、通常、初診日から1年6ヶ月を経過した日から3か月以内の診断書が必要になります。
この期間に通院をしていなければ、「事後重症による請求」といって、現在の診断書での請求しかできなくなる可能性が高くなります。
そうならないためにも、出来るだけ早く当事務所の無料相談をご利用ください。一緒に障害年金の申請に向けて準備をしましょう。