パニック障害は原則、障害年金の認定の対象にはなりません。しかし、例外で認定される場合があります。
パニック障害で障害年金が支給されるケースや手続きのポイントを解説します。
パニック障害で障害年金が支給されるケース
パニック障害は精神疾患のひとつである神経症(不安障害)です。障害年金において神経症は、その症状が長期間持続し重症なものであっても、原則として認定の対象にはなりません。
ただし、障害年金の認定基準に「その臨床症状から判断して精神病の病態を示してるものについては、統合失調症、又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。」とあり、例外的に認定対象となるケースもあります。
例えば、『パニック発作 → 予期不安 → 広場恐怖を併発』といった風に症状が進行すると、「人込みや混雑したお店に行けない」「バスや電車などに乗れない」など、日常生活に大きな支障をきたします。そうなると通勤ができず、休職を余儀なくされるなど深刻な状態に陥ってしまいます。
そのような精神病の病態を示している症状が出ているパニック障害は、”統合失調症や持続性気分障害に準じたもの” とみなされ、障害年金の認定対象となる可能性があります。
パニック障害が他の精神疾患を引き起こすこともあります
パニック障害に起因する不安や気分の落ち込みから、うつ病やその他の精神障害を引き起こすことがあります。障害年金の認定対象である精神の傷病を併発した場合は、もちろん障害年金の認定対象となります。
障害年金申請において重要な「医療機関での初診日」
障害年金を申請する際の提出書類のひとつに 「受診状況等証明書」があります。
これは、初めて医師の診断を受けた日の証明になりますが、この初診日は、障害年金の認定において大変重要な項目となります。
初診日の時点で “どの保険制度に加入していたか” 、”保険料をいくら支払っていたか” 等は、障害年金の受給資格の有無、障害認定日、また、障害基礎年金なのか障害厚生年金なのかを決定する要素となります。初診日の重要性については、当サイト内の 障害年金ってなに?、障害年金がもらえない可能性がある2つのケース、障害年金で支給される金額 をご覧ください。
初診日を証明する書類はきちんと保管しておきましょう
障害年金を申請する際、初診日を証明するために、初診を受けた病院で「受診状況等証明書」を発行してもらいます。
もし、病院でカルテが残っていなかった場合、初診日を証明する書類が必要になります。受診された場合は以下の書類はきちんと保管するようにしておきましょう。
- 診察券(できれば診察日や診療科が分かるもの)
- 領収書
- お薬手帳
- 健康保険の給付記録等
パニック障害の症状
パニック障害の原因についてはまだ完全に解明されていませんが「脳内の神経伝達物質に異常が生じて起こる」と言われています。そのため、パニック障害は「神経症」に分類されています。
主な症状について
1.パニック発作
ある日突然、不意に、動悸や呼吸困難、吐き気、めまい、冷や汗、震えなどの発作におそわれ、パニック状態になる病気です。パニック発作は3つに分けられます。
- 状況依存性パニック発作
ある特定の状況やそれを予期した時に起こる発作 - 状況準備型パニック発作
きっかけになる誘因はあるが、必ずしもその直後に起きるとは限らない発作 - 予期しないパニック発作
何のきっかけもなく突然起きる発作が反復して起きる
主な症状は、上記の動機や呼吸困難などの症状に加え、胸痛、胸部や腹部の不快感、しびれ間、脱力感、のどのつかえ、知覚異常などの症状がでることがあります。死の恐怖や発狂の恐怖を感じていることもあります。
2.予期不安
何回か発作を繰り返すと、また、いつどこで起きるか予測できないこともあり、発作の今日が頭から離れなくなり「また起きたらどうしよう」という不安でいっぱいになります。これが予期不安です。発作が収まっても、今度は予期不安に悩まされ、次のパニック発作を引き起こすこともあります。
3.広場恐怖
またパニック発作が起こるんじゃないかという不安から、発作を起こした場所や状況を避けようとします。広場恐怖とは、自分がコントロールできない状況に対する恐怖で、発作が起きた時にすぐに逃げ出せない、あるいは助けを求められない場所や状況を回避しようとします。パニック発作を起こしたら、広場恐怖になるということはありませんが、パニック障害に合併して広場恐怖が生じることがあります。